緊急時における食品の放射能測定マニュアル
以下は、平成14年3月に、厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課より「食品の放射能測定マニュアル」として発表された資料からの抜粋である。
この資料の冒頭に「はじめに」として、目的・趣旨が次のように述べられている。
「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(以下「本マニュアル」という)は、平成12年度厚生科学研究費補助金特別研究事業(H12-特別-047)「原子力施設の事故等緊急時における食品中の放射能の測定と安全性評価に関する研究」(主任研究者:出雲義郎)報告書に基づいて農畜水産食品の放射能汚染に関する食品衛生上の問題を検討するための環境試料である葉菜、原乳及び農畜水産物における放射能の分析方法についてとりまとめたものである。
原子力施設等に放射性物質や放射線の異常な放出がある場合又はそのおそれがある場合には、「災害対策基本法」(昭和36年法律第223号)及び「原子力災害対策特別措置法」(平成11年法律第156号。平成12年6月施行。以下「原災法」と略す。)に基づき、国、地方公共団体及び原子力事業者は、それぞれの防災計画に従い所要の防護対策を講ずることになっている。
この防災対策の一環として、「原子力施設等の防災対策について」(原子力安全委員会、平成12年5月一部改訂。以下「防災指針」と略す。)及び「防災指針」に基づく「緊急時環境放射線モニタリング指針」(原子力安全委員会、平成12年8月一部改訂。以下「緊急時モニタリング指針」と略す。)等により、周辺環境の放射性物質又は放射線に関するモニタリングが実施される。この緊急時モニタリング指針は、緊急事態発生時に、迅速に行う第1段階のモニタリングと周辺環境に対する全般的影響を評価する第2段階のモニタリングから成っている。各段階の測定項目には、いずれも空間放射線量率、大気中の放射性物質濃度のほかに、環境試料として飲料水、葉菜、原乳、雨水、土壌、植物、農畜産物、源水及び魚介類が対象になっている。
本マニュアルは、食品に対する原子力関連テロ時や原子力施設の事故等において、食品の安全を確認する際に参考となるものであり、第1章基本的な考え方、第2章 食品中の放射能の各種分析法、参考として緊急時モニタリング計画における食品の放射能測定・分析、被ばく線量等の推定と評価及び解説から構成されている。(以上は、原文をそのまま転載)
この資料には、放射能測定のためのさまざまな注意点、要領などが記載されているが、その部分は割愛し、摂取制限指標について以下に記すことにする。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
■ 飲食物摂取制限に関する指標
飲料水、葉菜、原乳、雨水、土壌、植物、農畜産物、源水及び魚介類の摂取制限に関する指標は、この資料の別表3に示されており、その内容は、以下の通りである。
「別表3 飲食物摂取制限に関する指標」から
【補足】
Bqとは、ベクレルと読み、ある放射性物質が放射線を出す能力、すわなち、放射能の強さを表す単位。毎秒1個崩壊すると1ベクレルである。崩壊する原子数を数えて、1秒間にどれだけの放射線を出すかを把握する。一方、シーベルトという単位は、放射線が人体に与える影響を示す放射線量の単位である。人体への影響は放射線を出す放射性物質の種類によって異なる。
なお、表中の制限に関する指標は、10の何乗という形で表現されていたのが、102であれば通常の表記の100とした。これらは、原文の表と異なる。
■対 象 放射性ヨウ素(混合核種の代表:131I)
飲料水 300 Bq/kg 以上
牛乳・乳製品 300 Bq/kg 以上
野菜類 2,000 Bq/kg 以上
(根菜、芋類を除く)
■対 象 放射性セシウム
飲料水 200 Bq/kg 以上
牛乳・乳製品 200 Bq/kg 以上
野菜類 500Bq/kg 以上
穀類 500Bq/kg 以上
肉・卵・魚・その他 500 穀類 Bq/kg 以上
■対 象 プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種
(238Pu、239Pu、240Pu、242Pu、241Am、242Cm、243Cm、244Cm の放射能濃度の合計)
飲料水 1 Bq/kg 以上
牛乳・乳製品 1 Bq/kg 以上
野菜類 10 Bq/kg 以上
穀類 10 Bq/kg 以上
肉・卵・魚・その他 10 Bq/kg 以上
■対 象 ウラン
飲料水 20 Bq/kg 以上
牛乳・乳製品 20 Bq/kg 以上
野菜類 100Bq/kg 以上
穀類 100Bq/kg 以上
肉・卵・魚・その他 100Bq/kg 以上
(出典:「原子力施設等の防災対策について」)
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