ヨウ素と言えば、小学校、中学校で理科の実験で、ヨウ素溶液にデンプンを加えると、ヨウ素デンプン反応を起こし藍色になる、「ヨウ素デンプン反応」思い出しますね。
しかし、ヨウ素には、もう一つの顔があります。それは「ヨウ素131」です。理科の実験のときは、「ヨウ素127」ですが。 ※ヨウ素:I 原子番号53 原子量126.9
「ヨウ素131」は、放射性同位元素の1つです。
放射能(放射線を出す能力、程度)を出す物質(元素)を放射性同位元素と言います。
原子は、原子核と電子からできていますが、原子核は陽子と中性子からできています。131とはこの陽子と中性子を合わせた数で、質量数と言います。
この放射能の強さを表す単位がベクレルです。これがどの程度、人体に影響を与えるかの単位は、シーベルトです。
さて、放射性同位元素は不安定なため、放射線を出して安定した原子になろうとします。
ヨウ素131はベータ線(電子線)を出して安定した原子キセノンに変わります。このときの放射線量はヨウ素の量に比例します。多ければ多いほどたくさん出ます。 ※ヨウ素:I キセノン:Xe
こうして、ヨウ素131は放射線(ベータ線)を出しながら安定なキセノンという元素に変わって行き、もとのヨウ素はどんどん減って行きます。
ヨウ素131を食品と一緒に摂取した場合、ヨウ素は甲状腺ホルモンの必須材料で、このヨウ素が甲状腺に集まります。そして、このとき、このヨウ素131の崩壊によって出るベータ線によって甲状腺が被曝し甲状腺がんになるという大きな問題が起こります。
10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.22ミリシーベルトに相当します。
しかし、このヨウ素131は、8日間で半分壊れて半分になります。そしてもう8日経つとさらに半分になります。すなわち、もとの半分の半分、4分の1になります。こうしてどんどん減って行き、やがてゼロになりますが、この半分になる時間のことを「半減期」と言います。
今、問題となっているもう一つの元素セシウムCsの半減期は30年です。
この半減期という言葉は、お薬などの他の分野でも使います。
短いものは、1秒もないものもありますが反対に長いものでは、ルビジウム(Rb87)は、475億年も経たないと半分にはなりません。
半減期を利用して年代を知ることができます。さきほどの岩石に含まれる天然の放射性同位元素「ルビジウム87」は475億年かけて、その半分がストロンチウムに変わります。岩石中のルビジウムとストロンチウムの比率は時間とともに変わります。この比率を測定して年代が計算することができます。
テレビ、マスコミでさまざまな情報が流れます。情報は正確につかんで正しく理解するようにしましょう。無用な不安を避けるためには、できるだけ自分自身で調べて確認するようにするといいと思います。