平成25年秋の川越祭りは、10月19日(土)、20日(日)だった。
日曜日はあいにくの雨となった。
私は、祭りを早く見に行こうというはやる気持ちをぐっと抑えて、土曜日の昼過ぎから散歩に出かけ、いつものように川越市街を抜け郊外へ出て入間川沿いを歩いた。
入間川の水量は、台風26号の影響でいつもよりは勢いよく流れていたが、まだ少し濁っていた。
入間川の両岸にはサイクリングロードが整備されていて散歩には歩きやすい道だ。ときどき、道から外れて川岸に下りたりしながら、ぶらぶらと歩く。
季節の移ろいを風の流れや草花に感じられ、自然と自分一人の世界に包まれる。街の騒音も聞こえて来ない。
聞こえて来るのは、水の流れる音、風の音、鳥の声、遠くを走る電車の音。
音楽やラジオを聴きながら、歩くことも多い。
途中、以前にもこのブログで書いたことのある「かわごえはし」に来た。もうすっかり秋の雰囲気に包まれていた。この橋のたもとには百人一首が描かれている。
枯れかけた夏の草が一層、秋を感じさせた。
一人の70代と思える男性が自転車から降りて、写真を撮っていた私に話しかけて来た。
「私は、このあたりからずっと向こうの山並みを見るのが好きなんです。綺麗ですよね。」とその男性。
「えぇ、そうですね。」と今日は曇りで見えないが晴れた日には遠くに富士山を望むことができることを思い出しながら、相槌を打った。
男性は、自転車を立て掛けて私のそばに近寄って来て、
「これは何ですか。」
「和歌です。百人一首ですね。洒落てますよね。この橋はこの入間川にかかっている橋の中では珍しい橋で、橋の欄干にもレリーフが何枚もあって、川越祭りのものもあるんですよ。」
「そうですか、今まであんまり注意して見たことがなかったなぁ。」
しばらく、その男性は私と話し、「じゃ、また。今日はいいものを見た。じゃ。」と自転車に乗って行った。
「じゃ、お元気で。」
3時間ほど歩いて、再び川越の市街に戻った。祭りの行われる中心部は交通規制も行われていた。すでに山車も出ていて交差点には4台もの山車が絡み合っていた。
4時前から小雨が降り出した。歩行者天国となった道路は人があふれ、なかなか思うようには進めない。露店は、その数を知らず。どの通りを見ても露店がずらり。食欲をそそる匂いだ。
この後、雨は日曜日の夜まで続き、珍しく雨の川越祭りとなった。
夜の川越祭りは、ほんとに綺麗だ。
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