世の娘をお持ちのお父さん、お元気ですか。
娘をすでに嫁に出したお父さん、これから嫁に出すお父さん、嫁に出したばかりのお父さん。
私の娘は、先週の土曜日に都内のホテルで挙式しました。
この1ヶ月、突然、胸にぐっと寂しさが襲って来て、涙ポロポロ。お風呂に入った時など、思わず声を出して泣きたくなるくらいに。お風呂は、涙が出ても顔をすぐに洗えるので、自分の心の動くままにできた。
ここ2、3か月は特に仕事も忙しくて日中は、考える暇もなく随分と助かった。もし、仕事が暇だったら、仕事中もブルーな気分でいたかも知れない。
思えば、娘がまだ2つくらいのときから、「いずれ、嫁に行くんだなあ・・・」と思いながら、お風呂に入れていた。
去年、その時は来た。
「お父さん、〇月〇日とか空いてる。仕事、忙しい?」
「うん?! 何?」
「ちょっと会ってほしい人がいる。」
「あーっ、そう。彼氏か!? いいよ。わかった。」
もう、精一杯の笑顔を元気な声で返事。
彼氏(今は、娘の夫となった)とは、それから2週間後くらいに池袋のデパートの前で待ち合わせして会うことにした。
待たせてはいけないと思い、いつもの待ち合わせより少し早目の10分前に行くことにした。
だけど、足はどんどん速くなり、30分も前に約束の場所に着いた。
そこは、ちょうどタバコが吸える場所がある。1本、2本、3本、・・・・完全なるチェーンスモーク。
傍から見ると、相当のヘビースモーカーに見えたことだろう。
頭の中は、どんな彼氏が登場して来るか、通りを行き交う若い男性を見ては、「こんな感じかな?! こんな感じは好きじゃないだろう、違うなあ。こっちの彼の感じかな??」
想像はどんどんふくらむが定まらない。十人十色というくらいだから、元々想像すること自体が意味がないのだが。
そして、娘の声。「お父さん!」
隣に優しそうな好青年が。(いやいや、ここは冷静に冷静に。)
冷静にと思ったが、冷静になんかなれない。お父さんの声は、いつもよりハイトーン。
(とにかく、余計なことや感じ悪いことは言わないように気を付けよう、言い聞かせた。)
娘たちが予約していた少し落ち着きのある居酒屋風の店に。
「よろしくお願いします。仲良く、喧嘩するなよ。」と私。
「あー、よかった。」と娘。
挙式後、二日後の月曜日には彼氏は一足先にこの5月から海外出張先となったタイに。
今日、娘は彼のいるバンコクに立った。
娘にとっても私のとっても、一生忘れることはできないだろう。
<2013年6月1日 成田空港77番スポット JAL717便 11:00定刻出発 11:25離陸>
幸せになってほしい。
飛び立って行く飛行機に心からの想いをこめて願いを送った。
「幸」って、いう字を2本の線で囲むと「南」という字になる。
南は幸せの方向だ。
少しだけ、話を脱線すると、「指南」という言葉があるが、南を示すということで南がどの方角かを示すことは、その昔、極めて重要な仕事であった。その職の人を「指南者」といい、その人が引く車を「指南車」といった。
「これで、いいんだ。娘は幸せに向かって、南を目指したのだ。」
それは、単に方角というだけでなく、娘が信じる「南」なのだ。
世界一の嫁になれ!
世のお父さん!
我々は、なぜか娘が旅立つとき、言い知れぬ寂しさ、喪失感を味わう。
それは男の持つ遺伝子がそう思わるのかも知れない。
その理由は、よくわからないが、
共にそれぞれの娘の幸多きことを祈ろう!
あなたのお嬢さんの幸せを私も祈る。
これからの彼らの時代が穏やかで平和であることを共に祈ろう!
世のお父さんたちに、
娘たちに、
旅立つ若いカップルに、
そして、お父さん、あなた自身にも、
乾杯しよう!
「乾杯!」
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